加賀伝統の美が活きる熟練の技を今に伝える

目細八郎兵衛商店について

加賀毛針

鮎毛針釣りの歴史

加賀毛針の発祥を語るには、当地金沢(加賀)で鮎毛針釣りが何故盛んになったかをお話ししなければなりません。江戸時代、加賀百万石前田家は外様大名のため、築城や土木工事、兵力、城主家臣の忠誠心に至るまで江戸幕府から厳しい監視の目が向けられていました。武芸を積極的に奨励すれば謀反の嫌疑を受けるため、鮎釣りも、足腰の鍛錬に猟魚というかたちで始められたといわれています。
友禅、蒔絵などの優れた工芸品製造も同じ理由から奨励され、次第に加賀藩の人々の生活にとけ込み、茶の湯、能楽の隆盛とともに、美を愛でる気質にまで高まったといわれます。

目細八郎兵衛商店の「鮎毛針」

17代目細八郎兵衛が、明治23年(1890)「第3回内国勧業博覧会」に加賀毛針を出展、褒状を受賞したことで、加賀毛針の品質と名声が広く全国に伝わり、加賀針元祖の名誉を拝することになりました。以来、目細八郎兵衛商店は、加賀(金沢)の優れた伝統工芸に通じる繊細な仕事で、美しく完成度の高いクオリティの毛針を作り続け、多くの鮎毛針ファンに愛用されて来ました。
「今年の鮎にはどんな毛針が良いか」毎年考えに考えて新作を作り続け、目細八郎兵衛商店は四百年余の歴史の中で、4,000点もの種類を作ってきました。現在そのすべてを提供できるわけではありませんが、その年の鮎の状況次第で手を加え復刻することも可能です。
時代は流れ、ラメなどを使った派手な毛針が好まれるようになったり、また野生動物保護の視点から人工の素材を用いなければならないことも多くなってきたため、毛針の姿も少しづつ変化してきました。また、鮎と人間の知恵比べも環境の変化などから21世紀型になってきています。

加賀毛針の製作工程

毛針制作は、熟練した職人でも作れるのは一日30本程。さまざまな色や模様の野鳥の羽毛を使い、すべて手作りで作ります。

《1.テグス付け》

毛針の元に絹糸を巻き付ける。山繭蛾(ヤママユガ)から取った本テグスを使うのが加賀針の伝統です。

《2.下巻》

針の胸、腹に当たる箇所に金糸や赤糸を巻き付ける。金底、赤底

《3.角付け》

虫の尾角にあたる部分に、羽毛でツノを付ける。ケンとも呼ぶ。

《4.先巻》

ツノの元から針先へ向かって羽毛を絹糸で巻き付ける。

《5.胴巻》

胴巻を作るが、巻きと羽毛色の変化が多数ある。更に、中巻を作るが、中巻の無い針もある。近年の流行となっているラメ入りの針はこの部分の最後の工程になる。

《6.元巻》

胴・中巻の次に元巻を行う、材料と色が重要となる。近年のワシントン条約の影響で、天然素材が入手困難になっているが、かっては、朱鷺の羽等で巻かれたこともある。

《7.髭付け》

追毛、羽根の別名があります。虫の触角に例える事もあります。

《8.蓑毛付け》

虫の足に当たる。西洋のフライト同じ作りですが、制作順序は全く逆で、元から先に巻いてゆくのが西洋式です。